離婚率が高くなっている世相を反映してか、最近は「バツイチです」とおっしゃる会員さんが増えてきました。なかには、「式だけで、籍は入れませんでした」とおっしゃる方もいますが、これはちっとも威張れることではありません。結婚期間が短いほど、辛抱が足らない人なのではないかと、逆にマイナスにとられかねません。
女性では四十代の離婚経験者がとても多いですね。ある程度子どもが大きくなり、そろそろ自分の残りの人生を考える時期にきていることと、子どもにとっても父親が必要な年齢にきていることが大きいのではないかと思われます。
でも最近、様子が少し変わってきたなと感じるのは、経済の問題です。不況が続いていることもあって、子連れで仕事をしていくのがむずかしい世の中です。だから結婚して、安定した生活を得たいというシングルマザーも増えています。
別に、離婚経験者だから、結婚はむずかしいということはまったくありません。ただ初婚との組みあわせは、親の反対に合いがちですから、バツイチ同士という組みあわせが多いことは確かです。
ある仲人さんのところに、二歳の子どもを持つ二十代なかばの女性会員さんがいらっしゃいました。彼女にはお見合いの席で初めて会った相手に「家を買ってくださいますか?」と聞いてしまう悪い癖がありました。仲人さんがわけを聞いてみると、以前、母一人子一人ということで、なかなか家を借りることができず、苦労したことがトラウマになっていろらしいのです。そこで仲人さんが「ほんとうに家を買ってくれないとだめなの?二人でこれから力を合わせて買えるよう努力すればいいじゃない」とアドバイスすると、次のお見合いからは言わなくなったそうです。
そしてその後、何度目かのお見合いのとき、たまたま子どもを預けることができず、彼女はお見合いの席に子どもを連れてきました。仲人さんが自宅で引き会わせた後、喫茶店で話すため、三人がともに連れ立って仲人さんの家から出ていくときに、両側から子どもの手をつないで歩いていくのを見て、仲人さんは「いい雰囲気だな」と思ったそうです。それから二時間ほどたったころ、彼女から電話がありました。
「先生、ご報告があるんです」と言うので、「なんでしょう」と言ったところ、「私たち結婚を決めました」という返事。「こんなに早く決めてもいいの?」と言ったそうですが、その後、親にもお互い紹介し合って、三回目のデートで婚約となりました。相手の方が三十八歳と年齢が離れていたせいか包容力があり、とても優しい方だったのが決め手になったようです。後で聞くと、すでにその方は自分の家を持っていらっしゃったそうですが、そのときはもう家のことなどどうでも良かったようです。
結婚されてから一年ほどたち、子連れで仲人さんのもとを訪れたときには、それまでは実際の年齢よりも少し老けて見えていた彼女が見違えるように若くきれいになり、子どもはお父さんの膝にちょこんと座って離れなかったそうです。彼女は「先生のおかげでほんとうに幸せになることができました」と、とても喜んでいました。
ちなみに、全国的に離婚率は高くなっているものの、私どもの会を通じて結婚された方の離婚率は、かなり低いものです。特に成田離婚は皆無です。皆さん、選びに選んで結婚されるので、ちょっとやそっとでは別れるというところまで至らないからだと思います。
父はよく冗談で、「三回くらい離婚してまた結婚してくれたら、うちも助かるんだけどなあ」と笑いながら言っていました。そのくらい、私どもの会員さんの離婚率は低いのです。