お見合いがうまくいくと、二回目以降は電話番号を交換し、あとは本人同士で連絡していただいていますが、実はここからなかなかスムースにいかないことが多いのです。
デートの日取りを決めるため、男性が女性に電話をかけて「この日はどうですか?」と聞いたとします。ところが「その日は用事が入っています」と答えられると、それ以上男性は粘らないことが多いのです。用事といっても、もしかしたら午前中で片がつくものかもしれません。「では、夜はいかがですか?」という聞き方をすれば、もしかしたら先方は都合がつくかもしれないのに、「わかりました、また電話をします」と言って、電話を切ってしまいます。それが二度も三度も続けば、男性の方も電話をかける気力が失せてしまって連絡をとらなくなり、そのまま縁がなくなってしまうということは、意外に多いのです。
また、何度電話をかけても連絡がつかないから、結局そのままうやむやになってしまったということもよくあります。
お見合いから交際に入ったカップルがいたのですが、二週間以上たっても仲人さんのもとには特に連絡がなかったため、仲人さんはそのカップルがうまくいっているものだと思っていました。ところがある日、女性から「もう電話がかかってこないからいいです」という連絡が仲人さんのところに入ったのです。男性からは「しょっちゅう電話を入れているけれど、なかなか連絡がつかない」とだけ聞いていたので、「男性は電話をかけているそうよ。知らないの?」と言うと、「知らない」と言います。そこで男性に確かめてみると、「夜九時、九時半と相手に電話をして留守だった、でも十時になると遅いかもしれないと思い、遠慮していた」と言うのです。しかも、留守番電話にメッセージを吹き込むことなく、電話を切ってしまっていたのです。携帯電話ではないので、相手の電話には番号も残りません。これではせっかく連絡をとったとしても、まったくしていないのと同じようなものです。メッセージを吹き込めば、女性もさすがに悪いなと思って男性に連絡することでしょう。
では、連絡がないと仲人さんに言う前に、女性側から連絡すればいいではないかとあなたは思うかもしれません。ところが、これはどれだけ年齢を重ねた女性でも嫌がるのです。
以前、五十歳くらいの女性会員さんがいらっしゃいました。お見合いのあと交際に入り、その後二度会ったそうです。女性は結婚を決めてもいいかなと思いはじめているようですが、男性の趣味が「釣り」なので、休みの日は外出しがちでなかなか連絡がつきません。そこで仲人さんがその女性に、「あなたから電話すればいいじゃない」とアドバイスしたそうですが、「私が?」と、驚いたような返事が返ってきました。「男性に連絡するのが恥ずかしいの?」と聞くと「でも、プライドが……」という返事。「あなたから電話すれば、向こうは喜んで、釣りも一度くらいは休んでくれるわよ。先方も“あなたに電話してもいつもいない”とおっしゃってるらしいわよ」と言うと、「わかりました。ちょっとプライドを下げてみます」ということで、結局彼女から連絡してうまくいったそうです。
「電話は男性からかけるもの」といった概念は、男女平等の世の中になったとは言え、まだまだ根強いものがあるようです。
「どんな人と結婚したいの?」と会員さんに聞くと「フィーリングが合う人」という答えが返ってくることが多いのですが、そのためにはもっと頻繁に連絡して会ってみなければ、どんな人かわからないでしょう。仲人さんのほうも、電話してもよい時間帯を女性に訊ねてから、それを男性に伝えてもらっています。ですから、男性は連絡がなかなかつかなくてもあきらめず、根気よく連絡してみてください。
また、これは最近の傾向ですが、交際に入って三週間たっても、会わずに電話やメールのやり取りだけで「付きあっている」と言う人もいます。「それでいいんですか?」と聞いても「お互い疲れているからそれでいい」という返事。「ではそのままの状態で、もしプロポーズされたら受けるのか」と聞くと「それはちょっと……」となってしまいます。
最近は皆さんの生活が忙しいこともあるのだと思いますが、仲人さんがかなり後押ししなくては、交際が進展しないという人が増えています。それだけ仲人さんが活躍する機会が多くなってきているということなのでしょう。