※以下の文章は、『全国仲人連合会 良縁-その先の人生を見つめて』平成15年(2003年)10月発行された書籍からの引用です。
著者である、全国仲人連合会 宮原祐輔社長の了解を得て掲載しています。
記載内容が当時と違っている部分があります。
最新内容は必ず全国仲人連合会の公式サイトでご確認ください。
結婚年齢や出産年齢の高齢化、少子化といった声があがるようになって久しいこの頃ですが、一生を独身で通したいと考えている人は、昔も今もそう多く ないでしょう。いくつになっても、心のどこかで「いつか自分に合った人に巡り合って結婚したい」と考えている人がほとんどではないでしょうか。
生まれ育った家族のもとを出て、自分自身の家族を作ろうとするときに、さまざまな疑問や逡巡が生じるのは自然なことです。でも、さいわいなことに、日本には昔から仲人さんという存在がありました。
新しい家族への一歩を踏み出すときに、疑問やためらいを相談でき、背中をポンと押してくれる人が、全国仲人連合会の仲人さんたちです。
結婚は、それまで他人だった二人の人間関係が家族を作っていくことですから、コンピュータなどの機械を作って相性を知るだけではどうしても不十分で、仲人さんたちの豊富な経験に裏付けられた人間味が必要になってきます。
日本古来のこうした仲人システムの良い部分を取り入れた全国仲人連合会を父、宮原嘉壽が設立したのは三十五年前です。それから現在までの間に、七万組のカップルが成婚し、現在の総会員数は四万人にのぼります。担当した仲人さんのもとには、毎年成婚された御夫婦からの年賀状や、子どもが生まれたとい ううれしい知らせが続々と届けられていて、仲人さんたちもこうした声を励みに日々努力しています。
父は、まだ「結婚相談所」という概念そのものがなかった時代に、日本で初めて仲人をシステム化した人物です。それから月日とともに信用を重ねていって、現在では日本で最大規模の結婚相談所となり、平成十二年、十四年と、二度にわたって紺綬褒章をいただきました。時とともに、「結婚相談所」という存在も人々に知られるようになり、来年からクーリ ングオフなどの規制の対象とされるようになったのも、社会的に認知された証拠だとうれしく思っています。
創立三十五年を機に、日ごろから会員さんや仲人さんたちに伝えてきたこと、培ってきた経験をもとに成婚力をえるためのちょっとした知識、そして創立から現在までの歴史を一冊にまとめてみました。
これまで私どもの会に関わってくださった多くの方に感謝いるとともに、この本によって一人でも多くの方が私どもの会について知り、父がよく言っていた「お互いをよく知ったうえでの“知的”で幸せな結婚」に結びつけば、と願ってやみません。
全国仲人連合会
代表 宮原 祐輔
仲人さんという風習は、その最も古い形式が『古事記』や『日本書紀』のなかにも見られるほど、日本古来からあったものです。けれども、「家」という概念、地域でのつながりが薄くなるにつれ、仲人の労をとろうという人は少なくなってきました。また、一人の仲人さんに寄せられる情報はどうしても限られてきます。結婚は一生のもの。できるだけ広い地域で、できるだけたくさんの情報のなかから、生涯の伴侶を見つけたいというのも人情でしょう。
全国仲人連合会は、まだ「結婚相談所」という言葉が知られていなかった昭和四十五年に、私の父・宮原嘉寿が・政財界の有志の方々のご協力を得て設立しました。その後、三十五年間で全国一千支部・会員総数常時四万人以上となり、これまでに成婚したカップルは実に七万組にものぼります。
この間、ほとんど形式を変えることなくここまで続いたのは、仲人という古き良き風習を残しながら、日本全国の情報を見ることができるというシステムにあります。東京の男性が、九州の女性と結ばれるというのは、その場所に親戚や知り合いがいないかぎり、これまでは絶対にあり得なかったことでしょう。
意外に思われるかもしれませんが、三十五年の歴史を通してつくづく思うのは、結婚は縁以外の何ものでもないということです。
実は私の友人も、若いときに全国仲人連合会に入会し、お嫁さんを見つけました。彼は口が達者だったこともあって、今の奥さんに決まるまで三回、結婚寸前というところまでいったのですが、特にこれという理由がなかったにもかかわらず、そのご縁は成立しませんでした。縁がない人のときには、電話をかけても相手が不在だったり、うまく連絡がとれないことがたびたびあったそうです。ところが、今の奥さんのときには、意外な場所でばったり出会ったり、親に会わせるときもうまくみんなの休日が重なったりしたそうです。
のっけから宗教じみたことを言いますが、縁とはそういうもので、それに逆らってもうまくいかないものだと思います。縁がないときというのは、ちょうど流れに逆らっていっしょうけんめい泳いでも、ちっとも前に進まないときのようなもので、逆に縁がある人に出会ったときは、加速度的に結婚に向かって進んでいくものです。
もうひとつ、私が結婚は縁だと思う理由は、往々にして会員さんたちが最初におっしゃっていた条件とは違う人を選ぶのを見てきたこともあるでしょう。簡単な例で言うと、「毛深い人は嫌い」と言っていたのに、選んだ人は胸毛まではえていたり、「身長が低い人はだめ」と言っていたのに、選んだ人は自分より低い人だったり。縁としか言いようがない例は、数多くあります。
では、まったく縁がない人はいるのかというと、これは一人もいないと言い切れます。誰でも少なくとも一回は縁があると、これまでの経験を通して自信を持って言えます。ただ、そのチャンスをつかめるか、つかめないかはその人次第で、チャンスをつかむための後押しをするのが、我々仲人なのです。
人生の終盤にさしかかって、ともに歩んできた風景を語り合う相手がいないのは寂しいものです。私の知りあいに、これまで一度も結婚しなかった六十歳近い女性がいるのですが、「寂しい」と言って、犬を相手に話す毎日をおくっています。
また、子どもが欲しいという女性は多いのですが、出産年齢には上限があります。四十歳を過ぎてから焦って相手を探してもなかなかむずかしいですし、たとえ結婚したとしても、すぐに子どもに恵まれるとはかぎりません。
男性は年をとってからでも子どもはいくらでもつくれると言う人もいますが、たとえば四十歳代後半の男性が三十歳代の女性を望んでいても、女性のほうは「おじ さんだから……」と敬遠し、これまた成立しにくいのが現状です。独身の男性のなかには、「結婚した友達からうらやましがられているから、なかなか結婚に踏 み切れない」と言う人もいますが、日本人男性には“照れ”がありますから、「結婚生活はいいよ」とはなかなか言わない。そういう方には、「その友人の言葉 を真に受けてはだめですよ。現にその方たちの結婚生活は続いていて、離婚しているわけではないでしょう」と言うことにしています。
今の人たちは、 昔に比べると若いと言われますが、実際には昔とそう変わっていないと私は思います。ですから、「もっと早い時期に入会されていれば、選択肢も広がっただろ うし、本人の希望にも添えたのに」と思うことも多々あります。全国仲人連合会に足を運ばれる親御さんたちは、お子さんのことを心配していらっしゃる方が多いのですが、お子さんのほうは、親ほど危機感を抱いていないため、乗り気ではないことも往々にしてあります。
けれども、実際に親御さんが入会の手続きをされても※、本人が動かないかぎりはお見合いはできません。お見合いを一度もしないまま、会費だけが毎月むなしく引き落とされていってしまうというわけです。そのため、最近は親御さんに、「入会前にお子さんの承諾を得てお見えになってください」と伝えることが多くなりました。会費だけ落ちていくのは、 我々にとっては努力することなく収入になるわけですから、むしろありがたいことなのです。にもかかわらず、「本人の了承を」と言うのは、入会させることが 目的ではなく、最終的に結婚まで持っていくことが仲人のプライドである、と信じているからです。
※現在ではご本人が契約しないと入会することはできません。
入会から結婚までの手続きは、創立以来、規定料金以外はほとんど変わっていません。コンピュータによってよりシステム化されましたが、ファイル化するという意味では、設立当初から考え方は変わっていません。
よ く父は「変化するものはデータに入れないように」と言っていました。たとえば身長はほとんど変わらないからデータに入れてもいいが、体重は増減があるので コンピュータに入力しない。最終学歴、結婚歴の有無は変化しないので入力するといった具合にです。言い換えれば、変化する条件というのは、本人の努力次第 でいくらでも変えることができるというわけです。
また規定料金に関しても、父が一時弁護士を志していたこともあって、法曹界の明解なシステムを至るところに取り入れています。たとえば弁護士の着手金にあたる入会金、成功謝礼に当たる成婚料などです。
それでは、入会から成婚までの流れを説明しましょう。
*** 入会まで
他の結婚相談所との大きな違いのひとつが、当会では入会前に会員さんのリストをお見せすることです。つまり、自分が望む条件の方が会員さんののなかにいるかどうかを確かめてから、入会するかどうか決められるというわけです。
結婚相談所のなかには、写真リストをパッと見せてすぐに閉じ、入会を迫るというところもあるそうですが、当会ではじっくり見ていただき、そのうえでご希望の相手をコンピュータで検索して、写真付きファイルで確認することができます。そうやって十分に納得していただいたうえで、その方を紹介してもらいたいと なったときに、初めて入会となります。
*** 入会の手続き
入会するには登録が必要となります。登録には下記のものが必要です。
・当会所定の申込書(身上書)に記入する。
・写真二枚。微笑しているものがいいでしょう。できるだけ最近のものを。
※上半身、一人で写っているもの
・戸籍謄(抄)本、または独身を証明できるもの一通
※現在は独身証明書
・住民票一通
・身元保証人
※現在は不要
・金融機関の通帳・届出印(月会費振替のため)
この書類を提出して登録番号が決まると、良縁ニュースに掲載されます。
入会とともに、契約書にも記入していただきます。
※現在ではその他、保険証(写)、収入証明書(写)、短大卒以上の場合は卒業証明書(写)、資格を必要とする職業の場合は資格証明書(写)が必要となります
*** お見合いまで
まず、ご希望のお相手をあげていただきます。だいたい男性で十人、女性で五人くらいが適当です。その後、仲人さんがお相手の仲人さんに電話またはファックス で連絡。お相手がこの申し込みを受けていただけるとなれば、お見合いの運びとなります。このとき、申し込んで受けていただいたすべての方たちと会っていた だくというのが、原則となります。
*** お見合い
遠距離の場合は、原則として申し込んだほ うが出向きます。場所は会員さんの希望を聞いたうえで、仲人さん同士が連絡しあって取り決めます。お見合いは昼間の時間帯で、だいたい二時間程度。仲人さんの自宅で引きあわせて、その後お二人で近くの喫茶店に行くという方々がほとんどですが、なかには仕事の関係上、近くのホテルのティールームなどでお引き合わせすることもあります。最近は携帯電話を持っていらっしゃる方が多いのですが、お見合いは、連絡がつく場所で、というのが原則です。
*** お見合いから交際へ
お見合いが終了した後、担当の仲人さんに交際に進むか、お断りするかを伝えてください。決してお見合いの席で本人にイエスかノーを伝えないこと。お断りするにしても、仲人さんがうまくお相手の仲人さんに伝えてくれます。
交際に進みたいときには、仲人さんが相手の仲人さんに連絡し、先方も同じ意志を持っていれば、そこで初めてお互いの電話番号、連絡先を交換します。
*** 交際から婚約へ
交際に入れば、お互いの連絡は会員さんたちにお任せしています。交際期間中、できるだけ会う回数を重ねることが、婚約までの近道となります。だいたい二週間 に一度くらい、仲人さんに連絡をして近況を伝えてください。それ以外でも、相談したいことがあれば、何でも仲人さんに相談してみてください。会員さんの身になって、豊富な経験からアドバイスすることができる仲人さんがいるということが、当会の特徴なのですから。
*** いよいよ婚約
何回か会ってみて、相手のことを知り、この人ならばと思ったら婚約となります。だいたい三ヶ月を目安にしています。長年この仕事をやってきて、三ヶ月という のは理にかなった期間だと思います。その期間、定期的に交際していれば、たいていの人は決断を下すことができます。会員さんたちは結婚を前提に入会しているわけですから、長引いてしまうと、早く結婚を決めたいと思っている女性に対しては、時がたった分だけ年をとらせてしまいますし、逆に男性に対しては、その間、無駄なお金を使わせてしまうことになりがちです。
仲人さんは、新聞などで募集をかけ、本部で選んでいます。父は「良い人が仲人をやらないと、良い会員さんは集まらない」と常に言っていましたし、その方針は今も変わっていません。
本部では、会員さんが入会されたときの登録料と、仲人さんからの月会費をいただくだけで、それ以外の入会金、成婚料などはいっさいいただいておりません。そ の代わり、宣伝に関してはそれぞれの仲人さんにお任せしていますから、クチコミだけの方、ご自分で宣伝費をかけている方などで会員の数は違い、在籍者がたった一人という方もいらっしゃれば、百人以上会員を抱えていらっしゃる方もいます。
マスコミに登場する仲人さんをはじめ、一般に仲人さんといえば、おせっかい焼きの中年の女性といったイメージですが、実際には男性もたくさんいらっしゃいますし、夫婦でやっている方もいらっしゃいます。女性は自宅で開業している方が多いのですが、男性は外に事務所を構える方が多いですね。女性は家にいてもきちんとお化粧しますが、男性は家のなかでなかなかネクタイ を締めようとは思わない。その違いが、仲人さんの事務所の構え方に出ているのだと思います。
当会では仲人さんを支部長さんとお呼びしています。選ぶときには、前職や、ご主人や奥様のお仕事など、かなり細かいことまで聞いて選んでいます。また、身なりがきちんとしている人、そしてお金がからむ仕事ですから、身の回りがきっちりしていなくてはなりません。若い女性も出入りし、相談するわけですから、独身の男性の方はなるべくお断りしています。男性の場合は、定年退職をされて年金をいただいているなど、ある程度余力のある方。なかには、定年を待たずして、奥様といっしょに営業している方もいます。
それから、仲人さん同土が連絡を取り合うことの多い仕事ですから、仲人仲間としていっしょにやっていける人、そういう点を考慮して選び抜いた人ばかりです。
新聞などに出した広告を見たり、クチコミで評判を聞いた方から連絡があると、仲人さんはまず資料を送ります。そして、相手に届いたところを見計らって連絡を入れ、興味を持っていただけるようでしたら、約束をとりつけてお会いします。
他の結婚相談所のなかには、盛んに勧誘の電話をかけるところもあるそうですが、私どもでは、いっさいそのようなことは行っていません。お会いしたところで説明をし、入会となれば登録の手続きを行います。
お見合いの場では、会員さん同士を紹介する程度で、あとはご本人たちにお任せします。話をするのが苦手という人には、少しだけ傍らについて、話の糸口を見つけてあげることもしていますが、ほとんどはお二人で送りだします。
その後、会員さんの意向を聞き、交際に入りたいという希望でしたら、相手の仲人さんに連絡を入れて「私どもの会員は交際を希望しておりますが、そちらさまはいかがですか」と聞きます。
断ってほしいという要望でしたら、同じように相手の仲人さんに連絡を入れ「ご縁がございませんでした」と伝えます。なぜ断るのかという理由を聞くことはめったにありません。ですが、たまにどうしたら断られないかということを聞いて、会員さんに助言することはあります。不注意な言葉が相手に嫌な思いをさせることに気づかない方もたまにいらっしゃいますから、そういう方にはお伝えするようにしています。
交際中に会員さんが「どうしよう。もっと他にいい人がいるんじゃないかな」と悩んで仲人さんに相談することもありますし、また、結婚を考えている会員さんが、なかなかそれを聞き出せないときに、相手の仲人さんに「うちのほうはそろそろ結婚したいと言っているんですけど、そちらはどうおっしゃっていますか?」と聞くこともあります。
仲人さんという仕事は、一にも二にも信頼が大切です。けっこうホンネで会員さんに話しますから、「この人なら」と思って入会したという方もいらっしゃいます。家が遠いときには、その方の近くの仲人さんを紹介することもありますが、「どうしてもこの仲人さんにお願いしたい」と、遠くから通っていらっしゃる方もいるようです。仲人さんたちの話を聞いていると、なんとかしてこの会員さんを結婚させてあげたいという熱意がひしひしと伝わってきます。
「言いにくいことをズバリと言うので、相手に泣かれてしまい、こっちもいっしょになって涙を流すこともあるけれど、なんとかしてあげたいから言わざるをえない」という仲人さん。結婚が決まると必ず一万円くらいかけて材料を買い込み、手料理でカップルをもてなすという仲人さんもいます。
結婚が決まったとカップルが報告に来て「ここにお願いして良かった」と言ってくださるときが、我々のいちばんうれしいときです。緊張して会っていた最初に比べると、まるで昔からの知りあいのように仲睦まじい様子を見て、ここに入らなければ出会うことがなかったんだなと思うと感慨深いものがあります。また、結婚後も毎年、年賀状を欠かさず送ってくださる元会員さんもいますから、全国に自分の子どもがいるようだとおっしゃる、お子さんがいらっしゃらない仲人さんもいます。
「この仕事をしていると、不思議なことに年をとらない」とよく言われます。仲人さんのなかには、とてもそう見えませんが七十歳、八十歳になっていらっしゃる方もいます。背中がシャキッとしていて、転んで骨折しても若い人より治りが早いくらいで、皆さんとてもお元気です。自分たちより若い人を相手にしていますし、毎日変化があり、そうした変化に常に対応してさまざまな経験を積んでいくわけですから、仲人という仕事は年をとることを生かせる仕事なのだとつくづく思います。
ただ、長年見ていて、仲人さんには良い意味での「好い加減な人」のほうが向いているような気がします。会員さんからさまざまな相談事が舞い込みますし、人の人生の大きな転換点に立ち合うわけですから、あまり几帳面な責任感の強い人ですと、きりきり舞いしてしまって余裕がなくなり、逆に会員さんに窮屈な思いをさせてしまいます。長い間仲人を続けてきた人たちを見ていると、幅のある弾力性を持った「好い加減な人」のほうが長続きしています。
結局、お金が好きという方は、この世界には入って来ないのです。世話好きだとか、おせっかい好きで、お金はあとからついてくるものと考えている方でなくては勤まらない仕事だと思います。
「男女の紹介だから、一歩間違えるとまったく違う方向に行ってしまう。だからこそシステムはきれいにしておかなくてはならない」というのが創立者である父の口癖でした。そのため、基本的な方針には、全国仲人連合会ならではのこだわりが随所に見られます。
*** 戸籍を提出してもらう※。
これは重婚を防ぐためです。過去に一度だけ、自分の弟の戸籍を提出した方がありました。奥さんが当会の名刺を見つけて連絡してくださいましたから事無きを得ましたが、その方がおっしゃるには、妻と別れるため、既成事実を作りたかったとのこと。ちなみにその方の職業は法律家というから、みんなであきれたものです。
※現在は戸籍の代わりに独身証明書を提出していただきます
*** 女性の財産についてはすべて消す。
女性については、どんなお金持ちでも、財産、資産、そして収入はデータに記していません。私どもとは関係がないのですが、二十年以上前、あるテレビ局が財産のある女性を立てて公開お見合いをしたことがありました。女性はそのお見合いで知り合った男性と結婚したのですが、後にその男性は、女性が所有していた不動産を担保に多額の借金をし、そのまま逃げてしまったのです。この場合、すでに結婚してしまったために、法律ではどうすることもできません。その事件を父が知り、「女性の財産は載せない」というきまりに、さらに自信を深めたようです。 ただ、私どもでは仮に女性の財産を公表したとしても、そういう事件は起こりにくいと思います。なぜなら、仲人さんがいますから、事前にそういう目的は見抜かれてしまいますし、女性側の相談に対して助言することもできるからです。
*** 掲載する写真はモノクロで。
私どもでは、登録写真をあえてモノクロで掲載しています。これは、そのほうが実際にお見合いとなって相手に会ったときに好印象を持てるからです。ときには、何十年も前の写真を持っていらっしゃる方もいますが、そういう方も同じ理由で最近の写真を持ってきていただくか、仲人さんによってはその場で撮影するなどしています。 これまで、まゆ毛をボールペンで書いてきた人、禿げているところを「塗ってもいいですか?」とおっしゃる方もいましたが、容貌ばかり気にして小細工しても、決して良縁には結びつかないものです。ただ、眼鏡をはずしたほうが素敵に見える方には、はずして撮影したり、コンタクトレンズをすすめたりすることもあります。最近は、眼鏡もいろいろな種類が出ていますから、変えてみるようアドバイスすることもあります。 もっとも、なかには「眼鏡をかけている人が好み」という人もいますし、その眼鏡がたいへん似合っている人もいますから、その対応は人によってさまざまです。
*** お見合いは申し込んだほうが出向く。
これは住んでいる場所が離れている人同士がお見合いする場合です。たとえば、東京の男性が大阪の女性に申し込んだ場合は、東京の男性が大阪まで出向いてお見合いが行われます。 会を始めた当初は、女性を守るために、女性が申し込んだ場合でも男性が女性のところに出向くことになっていたのですが、そうやって来させておきながら、どんどん断ってしまう女性もいました。それでは男性にも申し訳ないし、今は男女平等の世の中。むしろ女性のほうがしっかりしているくらいですから、男女を問わず、申し込んだほうが出向くということになったのです。 何年か前、衛星で結べば、東京と北海道といった離れた場所でもお見合いができる、といったニュースが流れたことがあります。それを見ていた父は「いや、電車や飛行機に乗るのがいいんだ。距離を感じなくてはだめなんだ。相手の生まれ育った場所を見たり、これだけ遠いんだという実感は、実際に乗り物に乗らなければわいてこない」と言っていたのが印象的でした。たぶん、こうした感覚は、どれだけ時代が進歩しても変わらないと思います。
*** お見合いは明るい時間に。夜は行わない。
休みの日が重ならないなど、よほどのことがないかぎり、お見合いは昼間の明るい時間帯に行います。夜に会うことになると、どうしても食事やお酒ということになってしまいます。お見合いは昼間に二時間程度。初対面ですから好印象のまま余韻を残して終えることができますし、また気の合わない方と長時間過ごすといった無駄も省けます。
*** お見合いではお茶のみ。ぜったいにお酒は出さない。
お酒は、お二人で会うお見合いもそうですが、会員さんだけのお見合いパーティでも出しません。男性のなかには、緊張するとお酒を普段以上に召し上がってしまう人があり、本来の良さが出ないうちにお見合いが終わってしまうことがあるからです。
土曜・日曜が休日ではなく、平日は夜七時まで仕事という女性がいました。申し込んだ男性はサラリーマンでしたから、このままではお見合いができません。仕方なく平日の夜七時半に、例外としてお見合いを行ったのですが、夜ということもあって最初から飲みに行ってしまいました。 緊張した男性は、ついついお酒をたくさん飲んでしまって酔っ払ってしまい、結局女性から断られてしまいました。やはり、夜のお見合いはだめだと、思いを新たにした失敗例です。
*** お見合いは本人同士で。
あくまで結婚は当人同土の気持ちが優先ですから、まずお見合いのときには本人のみで会っていただくようにしています。お互いの気持ちが固まってから、ご両親に会わせても遅くはありません。けれども、たまに相手の顔が見たいという親御さんがいて、そういう方には、「喫茶店の後ろで見ているぶんには構いませんが、あとで相手にそれがわかったら恥ずかしいですよ。もっとお子さんを信頼したらどうですか」と言うようにしています。最近よく言われる母子密着型の母娘というわけです。さすがに男性でそういう方はいらっしゃいませんが。
*** お見合いでは電話番号を交換しない。
最初に会うお見合いの席では、名刺を出したり、電話番号を交換しないようにお願いしています。本人同士の合意で交際に人ることが決まってから初めて、電話番号を交換します。これはストーカーなど万が一のことを考えて、会員さんのプライバシーを守るためです。
私どもの会には、他の結婚相談所でだまされたという方がたくさんいらっしゃいます。ですから、最近では他の相談所から来たという方がいらっしゃると「相談所って怖いですからねえ」と先に言うようにしています。
入会の際にかなり高額のお金をとっておきながら、事務所には来なくていい、お見合いがあればこちらから連絡すると言ったまま、ほとんど音沙汰がないところ。他の結婚相談所の職員のなかには、「社外で会員に出くわしたら、刺されるかもしれないから逃げる」と言っている人もいたと聞いています。また、社員を会員名簿に登録し、お見合い相手としてとして仕込むところもあります。 もちろん、これでは結婚が成立するわけがありません。
最近、脱税で告訴されたある結婚情報会杜の会員名簿が、インターネットに流出するといった事件がありました。ところがその流出した先のデータを、当の会社はなかなか消さない。消さないから見ることができたのですが、ずいぶんときれいな人ばかり掲載してありました。これなどは、会員でもない美しい人を掲載し、宣伝に利用するためにわざと流出させたのだと思います。
私どもの会では、条件などを見てお見合いすることが無理だと思えば、丁寧に入会をお断りすることもあります。結婚することができなければ、会員さんにお金を払わせるだけといった結果になってしまうからです。こういった方々も、商売としてどんどん入会させている結婚相談所はたくさんあります。さらに、若いアドバイザーを雇って、アドバイザーさん目当てに来所させるところもあると聞いております。
全国仲人連合会では、プライバシーに配慮していますから、良縁アルバムを入会前に堂々とお見せすることができますし、なによりお金の流れがはっきりしています。これだけきれいにきちんとやっているところは、他にはないと白信をもって言い切れます。
こうした自負があるからこそ、それが自信につながり、会員さんからの信頼へとつながって、三十五年の歴史ができあがったのだと思います。
お見合いできない方はお断りしていますから、どんな方でも一度は必ずご縁があります。ですから、あとは成婚する力をつけるだけ。たとえば、いい大学を卒業した方でも、マメでなければなかなか結婚にこぎつけることができません。逆に卒業した大学がそんなに良くなくても、マメな方は結婚する率が高いのです。
父はよく「お見合い結婚は、知的な結婚。知的の知は知力という意味ではなく、お互いをよく知っているという意味の結婚なんだ」と言っておりました。仲人さんたちが気が付いたことをアドバイスし、ちょっとした後押しをすることによって、会員さんたちが自分を知り、相手のことを知る。そうして会員さん自身が、結婚する力を高めていくためのお手伝いをするのが、我々の仕事だと思っています。
年齢が若ければお見合いはたくさんできます。 でも、お見合いができるから結婚できるとは限りません。
では、どういう女性が決まりやすいかといえば、まずは第一印象が良い人です。だれと話しても受けの良い人、好印象を与える人は決まりやすいですね。
それから、相手にあまり条件をつけない人。自分をよく知っている人、実力以上に自分を評価しない人は決まるのが早いです。欲を言わず、お相手が仕事もきちんとこなし、性格もやさしそうだと思えば交際に入ってみて、次のステップで家庭的な人かどうかを見極め、スムースに結婚するような方は、幸せな結婚生活をおくっていらっしゃいます。でも五人に一人くらいは、「このあとまだまだ良い人がいるのでは……」と思ってしまい、そうなると結局チャンスを見送ってしまい、それを繰り返して、五年、六年と在籍し続けてしまう人もいます。
また、減点方式で相手を見てしまうというのも、なかなか結婚が決まらない女性の特徴です。いっしょうけんめい男性が前に進もうとしても、女性は「いったいどこからこんなアラを見つけてきたのだろう」と思うくらい些細なことで「だめ」と決めつけてしまい、なかなか前進しようとしないのです。なかには「こんなにいい人がいるはずがない」と、ほとんど難癖に近いことを言う人もいます。こういう人は、いざ結婚が目の前に実現しそうになると、怖くなってついアラを探してしまうのかもしれません。
男性で早く決まりやすい人というのは、やはりマメに連絡をとる人でしょう。せっかく交際に入りながら、二、三回女性に連絡しても不在だったりすると、気が引けてしまって連絡をとらなくなってしまう男性がいます。また、そういう方に限って、留守電にメッセージを残さず、すぐに電話を切ってしまいがちです。
女性はどんなに年齢を重ねていても、自分からは電話をかけず、相手からの連絡を待っているものです。ですから、お相手が不在のときは、留守電にメッセージを残すなど、とにかくマメに連絡をとる人、不在が続いてもあまり気にせず、なんとか連絡をとろうとする方の方が、結婚が決まる確率が高いですね。
夢と希望を女性に話せる男性も、女性には好意的に見られます。結婚はパートナーとともに未来を作ること。「この人といっしょに夢を現実にしていきたい」と思わせれば、結婚に王手をかけたも同然です。
たくさんの人の顔写真を見て選ぶことができるというのが、全国仲人連合会の特徴なのですが、あまりにも選択肢が多いということが、むしろ結婚の妨げになっているのではないかと思うことがあります。良縁ニュースを開くと、全員こちらを向いてにっこりしていますから、みんながみんな自分に好意を持っていると錯覚してしまうのかもしれません。なかには、自分はもてると勘違いしてしまう人もいます。
特に女性の会員さんにこの傾向が強く、お見合いをするたびにもっと良い人がいるのではないかと思ってしまい、結局交際にも結婚にも踏み切れない人たちが多いようです。
ある三十代後半の女性会員さんは、何回お見合いを重ねても断ってしまいます。いつも「行ってきまあす」と明るくお見合いに出掛けて行くのですが、一、二時間すると「今回の人は……」とお断りの電話がかかってくるのです。
これまで四人の男性からプロポーズされるところまで交際は進んだのですが、土壇場でやっぱり何だかんだと理由をつけて断ってしまいました。仲人さんが「四十歳はもう人生の折り返し地点よ。そうなるとお見合いの申し込みも減るわよ。」とハッパをかけるのですが、やっぱり決まりません。
一方、そうやって彼女がふってしまった男性は、続々と他の女性と結婚が決まっていきます。
成婚が決まったお二人が仲良く並んでいる写真を、仲人さんが彼女に見せながら、「あなたがふった人、こんなにきれいな人と結婚が決まったわよ」と少し嫌みを込めて言うと、「この方、表情が変わっている。私がお見合いした人とは別人のよう」と答えるそうです。
実際、男性は交際するにつれて緊張がほぐれ、表情が変わっていく人が多いのです。
結婚相談所にいらっしゃる男性は、純情な方が多いですから、最初はどうしても緊張して表情がぎこちなくなってしまいます。お見合いのときは必ずスーツを着てもらっていますから硬く見えがちですし、なかには緊張のあまり、歩くときに手足の動きが逆になってしまう人もいます。
仲人さんもなるべくリラックスさせるよう、男性にお見合いの少し前に来てもらって会話するなど工夫していますが、女性に比べるとどうしてもリラックスすることが今一つじょうずではありません。
けれども、交際に入って二回目くらいになれば、服装も自由ですからリラックスしたものを着てくる人もいるでしょうし、表情もずいぶん和みます。ですから、最初にお見合いで会ったときとは、どうしても表情が変わって見えるのでしょう。
確かに、結婚相談所では、そこそこ条件がそろっていれば、毎週でもお見合いをすることができます。でも、仲人さんはベテランですから、最初に会員さんの条件を聞いたうえで、経験にもとづいて、いちばんその方に合いそうな方、良さそうな人をすすめます。また、仲人さんたちは書かれているデータから、さらなる情報を読み取るのも得意です。何回もお見合いを重ねた会員さんから、「いちばん最初に会った人がいちばん良かったかもしれない」といった言葉が聞かれるのは、そういう理由があるのです。
会話がへたな男性も多いですから、女性はお見合いのときには、どんどん男性に質問してみてください。そうすればきちんと質問には答えてくれるでしょう。でも、男性は緊張するとどうしても表情が硬くなることを頭に入れ、それは点数に入れないで交際に入れば、その人の良いところがきっと見えてくるはずです。
女性のなかには、とてもこの世に存在しそうにない人を求めている人もいます。私はそれを「青い鳥症候群」と呼んでいます。
人からうらやましがられる職業で、高学歴、高給を得ながらも、もう若いとは言えない年齢になってしまった女性に特にこの傾向が強く、「ここまで待ったのだから」とどんどん相手に求める条件が高くなっていく人がいます。不景気で全体的にお給料が減っている世の中で、彼女がもらっているお給料以上の金額を得ている男性はなかなかいません。彼女の場合は、自分の理想の男性を求めているわけです。
たとえは悪いのですが、結婚はギャンブルと同じで、「もっともっと、」と要求する人は、結局元手さえ失ってしまいます。
女性が男性に求める条件に多いのは、昔で言う三高、つまり学歴、身長、収入が高い人です。特にバブル時には、さらに細かい条件をつける人がいて、相手に求める条件も非常に高かった人が多かったような気がします。けれども、バブルがはじけてしまった今でも、三高を求める女性の率の高さは相変わらずです。日本の学歴社会が崩れて久しい昨今ですが、高学歴=高収入、高身長=見栄えが良いといった神話はまだまだ崩れていませんし、相変わらず「東大卒」は、ブランドとなっています。
だれでも希望する条件のうち、一つは必ずかないます。たとえば、身長が高い人、という条件であればそれはかないますし、学歴が高い人という条件もかなえることができます。けれども、身長も学歴も高く、なおかつ顔が良くて収入が高い人となると、これはなかなかいませんし、たとえいたとしても、今度はその方に選ばれるかどうかわかりません。
なかには、三十歳くらいの公務員で、年収が一千万円の人という条件を出す人もいます。公務員はお給料が規定で決まっていますから、大学を出て八年くらいで一千万円を超す収入を得ている人など、ほとんど存在しないと言っていいでしょう。
また、「生活費としてどのくらいあればやっていけますか」と聞くと、「うーん、五十万円くらいかな」と平気で答える人もいます。手取りで五十万円を奥さんに渡せる人というのは、額面で年収一千万円は必要なんだということを説明しても、今ひとつピンと来ない。こういった経済感覚の食い違いは、親と暮らし、一度も独り暮らしをしたことがない女性に見られます。
相手を非常に限定する人も決まりにくい人です。
ある二十代後半の女医さんがいるのですが、彼女が相手に求める条件は東大のしかも理数科出身というものです。あるとき、理数科ではなかったものの東大の法学部を卒業された方をおすすめしたのですが、「うーん……」と一言いながら渋ってしまいます。でも、とにかく会ってみるということでお見合いし交際に入ったのですが、「忙しい」と言ってなかなか次に会う日をセッティングしません。男性が週末に電話すると「忙しいから週半ばに連絡してください」と言い、それではと指定したころに電話すると、今度は「学会が入りました」。そんなことが何回か続いて、ついに男性は「もういいです」と仲人さんに断りの連絡をしてきたそうです。
また、四十代前半のフライトアテンダントで、相手は初婚でなくてはだめだとおっしゃる方もいます。なぜかと問うと「子どもを三人くらい欲しいから」という答え。「再婚の方は子どもがいる可能性が高いので、もう子どもを作りたがらないけれど、初婚の方はきっと欲しがるだろうから」というのがその理由なのです。けれども、それは彼女の予測であって、実際に子どもが欲しいか欲しくないかは、その人に聞いてみなくてはわかりません。女性の出産年齢には限りがあることを考えれば、なるべく選択肢は広いにこしたことはないでしょう。そうやって自分から条件を狭めてしまえばしまうほど、縁に出会う間口もまた狭まってしまいます。
私どもの会員さんでは数少ない職業の方を希望される方も、やはり決まりにくくなります。
ご自身はソムリエの資格を持ち、できれば自営業者の方と結婚してその資格を生かしたいと望んでいらっしゃるお嬢さんがいます。ソムリエの資格を生かす仕事となると、レストランやバーなどの経営者となるのでしょうが、私どもでは原則として水商売の方はおあずかりしないことになっています※。何度かサラリーマンの方とお見合いしたのですが、うまくいかないので「自営業者」ということで範囲を広げ、最近そのうちの一人と交際が始まりました。
また、農家志望の女性もいます。いつ何時、何が起きても、土地さえあれば作って食べていくことができるからというのがその理由です。農家に嫁が来ないと嘆く人が多い昨今、本来ならば引く手あまたなのでしょうが、私どもの会員さんのなかにはほとんどいらっしやらないので、これまたむずかしい条件です。
夢と結婚を重ね合わせて考えてしまう、それも非常に限定してこだわりすぎてしまうというのも、女性の特徴と言えるかもしれません。
※現在は職業により入会をお断りすることはありません。
男性は女性よりも自分の経歴に対してコンプレックスを抱きがちです。
我々の目から見ると、思わず「どうしてそんなところに」と驚くようなところにコンプレックスを持っている人もなかにはいます。
ある有名私立大学を卒業された男性に、東大を卒業された女性をすすめたところ、東大卒は嫌だとおっしゃいます。わけを聞いてみると、大学受験の際、東大を受けて落ちたからという返事でした。
また、ある男性は「子どもを三人くらい産める女性」という条件を出していましたから、不思議に思って理由を尋ねてみました。すると、「自分の従兄弟のところに、子どもが二人いるから」という返事。どうやら子どものときから従兄弟と張りあっていて、受験では自分が良い大学に入学できて勝ったけれど、結婚は相手が先だったから負けてしまった。でも、子どもの数では負けたくないということらしいのです。これにはあきれて物も言えませんでした。
留学先で外国人と知り合って結婚し、子どもができてから離婚したお嬢さんが会員にいらっしゃいました。離婚という条件はネックにはならないのですが、その子どものお父さんが白人だったと聞いたとたん、引いてしまう男性が少なからずいます。これもやはり、白人に対するコンプレックスからなんです。
でも、その女性もかなり変わった方で、「別れた元ダンナの相手もここでお世話してほしい」とおっしゃいます。でも、もしかして万が一お見合いが重なり、仲人さんのお宅で引きあわせたときに、相手の女性の子どもがもう一組の男性に「パパ」と言ったらびっくりしてしまいますよね。
丁寧にお断りしたのですが、ずいぶんドライだなあと妙に感心したものです。
コンプレックスとは逆の意味、つまり親族に対する遠慮から縁談がこわれてしまったこともあります。
順調に交際が進み、めでたく婚約となったカップルがいました。ところが、結婚式の式場を決める段階で、女性は自分が式場代を出してもいいから、子どものころから夢を描いていたニューオータニか、オークラで式をあげたいと望みました。ところが男性のほうは、本家の長男が式をあげたある式場以上のところでは、式はあげられないというのです。男性は女性がぜいたくだと決めつけ、女性は自分の長年の夢を理解してくれないと嘆く。もめた揚げ句、女性の仲人さんが男性の言う式場を見に行ったところ、そこはとても貧相な場所だったそうです。結局「あんな場所では、彼女がかわいそうでとても結婚式をあげさせられない」ということで、このご縁はなくなってしまいました。
こういった例はもちろん少数ですが、女性が相手に望む条件を限定するのと同じくらい、つまらぬところにこだわる男性も、結婚が決まりにくい人と言えます。
男性が女性に望む条件も「美」と「年齢」が多く、これまた昔から変わっていないと言えるでしょう。一般に男性は女性を外見と経歴で決めつける傾向にあります。
たとえば、女性が音楽大学を卒業したというだけで「お金がかかりそうだ」と思ってしまいます。けれども、音楽大学を卒業した人すべてが「家にグランドピアノを置きたい」というわけではありません。また、家にピアノを置いたとしても、もしかしたら生徒をとって逆にお金を稼いでくれるかもしれないのです。
またお見合いの時に有名ブランドのバッグを持っていたというだけで、とてもぜいたくな人なのではないかと思ってしまうようです、けれども、もしかしたらそのバッグは、女性が何年もかかってコツコツと貯めたお金で、ようやく買ったものなのかもしれません。あるいは、清水の舞台から飛び降りる思いで買い、十年間愛用しているバッグをハレのお見合いの日に持ってきたのかもしれません。逆に、いつも穴のあいた洋服を着ていても、それは貧しいからではなく、飲み食いにたくさんお金を使って、着るものには興味がない人だからかもしれません。
女性の職業からも男性は勝手にイメージを作ってしまいます。「看護婦さんは親切な人」「保母さんは子ども好き」といった具合にです。でも、これは仕事であって、プライベートはそうではないかもしれません。
そういうことを仲人さんがひとつひとつ説明して初めて「ああ、そうか」と納得する男性はたくさんいます。
このように、外見や職業で単純に男性は好みを振り分けてしまうことから、女性は、掲載する写真にしても、着物を着て髪をアツプにしたものではなく、普通の洋服で撮影したほうがいいと思います。若い方が着物を着ると、どうしても老けて見えます。顔の造作がはっきりしている人など、とても派手に見えてしまいますから、男性のなかには引いてしまう方もいるのです。
「パチンコを二人でできる人は幸せだ。泥棒だったら見張りをしてくれる奥さん。警察に通報する奥さんだったら困るだろう」。例えは悪いですが、昔父がよく言っていた言葉です。
つまり、自分と同じような環境、価値観を持った人といっしょになれば、人は幸せになるということです。
結婚相手に自分の周辺にはない職業の人や、まったく違う器の人を望む人がいますが、往々にしてだめになってしまうことが多く、結局、自分と同じような環境の人と交際し、結婚するほうがうまくいく確率が高いと思います。極端な話、理科系の人は理科系の人を選んだほうが、相手を理解できます。理科系の人は無口な方が多いのですが、その無口さを理解できるというわけです。なかには、コンピュータ好きの二人がお見合いし、交際に入ってからも、直接会わずに、メールでばかり会話しているという人もいます。彼らにとっては、それが心地よいし、楽しいのです。でも、まったく違う価値観を持った人とは、そうはいかないでしょう。
男女平等の世の中とはいえ、まだまだお見合いの世界には、古風なところがあります。女性の場合は、結婚するパートナーによって大きく生活が変わりますから、パートナー選びはどうしても慎重にならざるをえないことはわかります。さらに言えば、結婚によって生活がまったく変わってしまう確率は、男性よりも女性のほうが高いのです。でも、だからといってあまり深く考えすぎ、先を読みすぎてしまってはなかなか結婚できません。そうした中で、「自分と同じような環境の人を選ぶ」というのは、幸せになるためのキーワードの一つになると思います。
逆に男性は結婚しても生活における変化は女性ほどではありません。女性によってもたらされるもの、影響される部分というのは、日々の生活のなかの半分くらいではないでしょうか。だから、ある意味ではもう少し気楽にとらえてもいいのではないかと思うのですが、実際にはなかなかそうはいかないようです。
離婚率が高くなっている世相を反映してか、最近は「バツイチです」とおっしゃる会員さんが増えてきました。なかには、「式だけで、籍は入れませんでした」とおっしゃる方もいますが、これはちっとも威張れることではありません。結婚期間が短いほど、辛抱が足らない人なのではないかと、逆にマイナスにとられかねません。
女性では四十代の離婚経験者がとても多いですね。ある程度子どもが大きくなり、そろそろ自分の残りの人生を考える時期にきていることと、子どもにとっても父親が必要な年齢にきていることが大きいのではないかと思われます。
でも最近、様子が少し変わってきたなと感じるのは、経済の問題です。不況が続いていることもあって、子連れで仕事をしていくのがむずかしい世の中です。だから結婚して、安定した生活を得たいというシングルマザーも増えています。
別に、離婚経験者だから、結婚はむずかしいということはまったくありません。ただ初婚との組みあわせは、親の反対に合いがちですから、バツイチ同士という組みあわせが多いことは確かです。
ある仲人さんのところに、二歳の子どもを持つ二十代なかばの女性会員さんがいらっしゃいました。彼女にはお見合いの席で初めて会った相手に「家を買ってくださいますか?」と聞いてしまう悪い癖がありました。仲人さんがわけを聞いてみると、以前、母一人子一人ということで、なかなか家を借りることができず、苦労したことがトラウマになっていろらしいのです。そこで仲人さんが「ほんとうに家を買ってくれないとだめなの?二人でこれから力を合わせて買えるよう努力すればいいじゃない」とアドバイスすると、次のお見合いからは言わなくなったそうです。
そしてその後、何度目かのお見合いのとき、たまたま子どもを預けることができず、彼女はお見合いの席に子どもを連れてきました。仲人さんが自宅で引き会わせた後、喫茶店で話すため、三人がともに連れ立って仲人さんの家から出ていくときに、両側から子どもの手をつないで歩いていくのを見て、仲人さんは「いい雰囲気だな」と思ったそうです。それから二時間ほどたったころ、彼女から電話がありました。
「先生、ご報告があるんです」と言うので、「なんでしょう」と言ったところ、「私たち結婚を決めました」という返事。「こんなに早く決めてもいいの?」と言ったそうですが、その後、親にもお互い紹介し合って、三回目のデートで婚約となりました。相手の方が三十八歳と年齢が離れていたせいか包容力があり、とても優しい方だったのが決め手になったようです。後で聞くと、すでにその方は自分の家を持っていらっしゃったそうですが、そのときはもう家のことなどどうでも良かったようです。
結婚されてから一年ほどたち、子連れで仲人さんのもとを訪れたときには、それまでは実際の年齢よりも少し老けて見えていた彼女が見違えるように若くきれいになり、子どもはお父さんの膝にちょこんと座って離れなかったそうです。彼女は「先生のおかげでほんとうに幸せになることができました」と、とても喜んでいました。
ちなみに、全国的に離婚率は高くなっているものの、私どもの会を通じて結婚された方の離婚率は、かなり低いものです。特に成田離婚は皆無です。皆さん、選びに選んで結婚されるので、ちょっとやそっとでは別れるというところまで至らないからだと思います。
父はよく冗談で、「三回くらい離婚してまた結婚してくれたら、うちも助かるんだけどなあ」と笑いながら言っていました。そのくらい、私どもの会員さんの離婚率は低いのです。
昔は「天は二物を与えず」と言われていましたが、最近感じるのは二物も三物も与えられている女性が多いことです。見た目が良い女性は、人への気配りもでき、洗練されているということが多いのです。
少し前に、手の指先を一部失った男性が会員のなかにおられました。実は入会のときにそのことをおっしゃらなかったため、仲人さんのほうはまったく気が付かなかったのです。ある日、ある女性とお見合いをしたところ、その女性から「指がない!」とえらい剣幕で仲人さんのもとに電話がありました。
こちらも知らなかったものですから驚いて男性に聞いたところ、入社後の研修で、機械に巻き込まれて指の先の一部を失ってしまったということでした。事故で起きたことなのですから、こちらは、入会されるときにそれを言ってくださりさえすれば、まったく間題ありませんでした。
ですから、「どうして入会なさるときにそのことをおっしゃらなかったのですか?」と聞いてみました。すると彼は、「実は、ここに入る前に入会していた結婚相談所で『そんなことは黙っておきなさい』と言われたから」と答えました。
私どもでは、会員さんの情報に関しては「嘘がない」ことを大切にしていますから、「うちはその相談所とは違う」と説明し、納得していただきました。
その男性は条件が良かったので、その女性の前にもお見合いをされ、交際に入ったこともあったのですが、そのときの女性はそんなことを一言も言いませんでした。そのことも彼に訊ねてみたところ、彼はその女性には、お見合いの席で指のことを告げていたそうです。それに対して彼女は「そんなことは気にしません」と答えたそうです。その女性は大変きれいな方でした。結局彼女とは、酔っ払った同僚にそそのかされ、彼がお酒の席から電話をしてしまったことが原因でうまくいかなくなってしまったのですが、失礼ながら、「指がない」と大騒ぎをした女性は容姿が良いとは言えませんでしたから、きれいで人にも気配りできる彼女に対し「天は二物を与えるんだなあ」とつくづく感じたものです。
彼のほうはその後、そのことを相手に伝えたうえでお見合いし、結局、別の大変美しい方と結婚されました。
日本人男性の場合、頭髪が薄い人は、女性から敬遠されがちです。ご本人もそれを気にされて、入会されるときにカツラをかぶっていらっしゃる方もいます。
以前、二十五歳の男性で、背が高く、しっかりとした顔立ちの方がいらっしゃいました。カツラということはわかっていたのですが、きちんと清潔にしていらっしゃいましたし、じょうずにかぶっておられたので、特に何もアドパイスはしませんでした、その方はマメでやさしく、しっかりしていた方だったので、ある女性とお見合いし、交際を経て三ケ月で婚約されました。
ところが、いよいよ結婚となって式場を予約というときになって、彼は彼女に「実は隠していたことがあったんだ」と言って、パッとカツラをとり「こんな僕でもいい?」と言ったそうです。
それまでその女性はのんびりとした性格もあって、彼のカツラに気づいていませんでした。ですから彼がカツラをはずした途端、泣いてしまったそうです。しばらくは「それでもいい」と言わなかったのですが、その後彼女も納得してくれて、無事結婚。その後、彼女から仲人さんのところに届いた年賀状には、「髪を剃ってクリクリ頭になった主人に惚れ直しています」と書いてあったそうです。
また、別の頭髪が薄いエリート男性は、交際中にやはりカツラをパッととって告白したところ、相手に拒絶されてしまいました。そこで、仲人さんが増毛をすすめたところ、それに従い、次に出会った素晴らしい美人と結婚し、幸せになっています。
カツラをかぶっていても、それがブラシできれいに整えられ清潔ならば、見た目の印象はずいぶんと違ったものになります。女性が「カツラが嫌」と言う原因の一つには、不潔さが目立つからということもあるのです。
なかには、頭髪が薄くなっていても「僕はこれでいいんです。このままの僕を受け入れてくださる方を見つけます」とおっしゃる方もいます。そういう方はたいてい、最後にはお相手を見つけることができます。
結局、自分に自信を持つということが成婚につながるのです。ほんとうはそのままでも十分なのですが、それがために自信を持てなくなっている人には、増毛をすすめるというわけです。最近は増毛といっても、以前ほど高額ではありません。
目が悪ければ眼鏡からコンタクトに変える、歯並びが悪ければ矯正する。それと同じように、頭髪が薄ければそれを補うことは、ちっとも恥ずかしいことではないと思います。
女性とは逆に、男性のなかには自分を過小評価する人もいます。「有名私立大学を卒業したといっても、通信ですから」とおっしゃる方もいますが、仕事を持ちながら通信で大学を卒業するまでの努力はたいへんなものです。そういうときには、仲人さんがそう言ってはげまし、「自信をもちなさい」と言うと、たいていの男性は見違えるほど顔が明るくなります。男性は。自分に自身を持てるようになると、顔つきがまったく変わり、声まで明るくなるものです。
高卒の男性ですが、見栄えがよく、省庁に勤めている方がいらっしゃいました。性格も素直でやさしくとても良い男性なのですが、ただひとつ、緊張するとどもってしまうという癖がありました。見栄えが良いので、女性からの中し込みは多いのですが、交際に入り、しばらく経つと断られてしまいます。それでもある女性とうまくいき、婚約直前というところまでいったのですが、彼女に「幼児のころにしゃべり始めるのが遅かったので、特殊学級に入っていた」という思い出話をしてしまい、それが原因で断られてしまいました。
今の彼を見ていながら、そんなことで断ってしまう女性も女性ですが、あまりに彼が落ち込んでいるのを見て、担当の仲人さんは「特訓」と称して、一ヶ月間、毎日用がなくても男性から自分に電話をかけさせました。そうして落ち着いて話せるようになったのを見計らって、その成果を確かめるために外でいっしょにお茶を飲み、おしゃべりしてみたところ、すっかりどもりが治っていたそうです。そこで今度は私どもの会のお見合いパーティに出席することをすすめてみました。仲人さんがその様子を見守っていたところ、三、四分ごとの女性とのおしゃべりも滞ることなく楽しそうに過ごし、結局その日、その方には六人もの女性からお見合いの申し込みがあったそうです。彼はそのうちの一人と順調に交際を続け、結婚しました。
毎日、彼に電話させてどもりを直してしまった仲人さんには頭が下がりますが、仕事が終わってから、連日電話をかけたその方の努力も大したものだと思います。結局、そうした努力が自信につながり、その方は自分で幸せをつかむことができたのです。
自信がついたから結婚に至ったという例は、女性にも見られます。
二十代後半の女性会員さんで、身長はそんなに高くないのに体重は七十キロある方がいらっしゃいました。いつも体型を隠すように、ひだのついたロングスカートをはいています。しかも、太っていることを気にしているせいか、着る洋服の色は黒などの暗い色のものばかり。そのため、実年齢よりよほど老けて見えます。
洋服の色ばかりでなく、性格も愛矯がなく、ちょっと暗い感じがしていました。仲人さんはいつも彼女に「かわいい顔をしているんだから、もうちょっとやせればいいのに。それにもっと明るい色を着たら?色が白いんだから」とアドパイスしていましたが、彼女はブスッとしたまま「こういう色しか好きじゃないんです」と言うばかり。
ところがその彼女が一念発起し、一年で二十キロ痩せたのです。仲人さんが驚いて「どうやって痩せたの?」と聞くと、彼女は「片道四キロある職場までの道のりを、毎日徒歩で通った」と答えたそうです。そうやって痩せたとたんに、LLサイズから普通サイズの洋服を着ることができるようになり、いろいろな色やデザインの服を着こなして、どんどんきれいになっていきました。以前は化粧っ気がまったくなかったのに、口紅もきちんとさしています。
そこで登録していたお見合い写真を現在のものに変えたとたん、たくさんお見合いの申し込みが来るようになりました。それとともに性格も明るくなり、最近では笑顔を頻繁に見せるようになったと仲人さんも喜んでいます。
太っている女性は結婚できないというわけではありません。むしろ、少しぽっちゃりとした人が好みという男性はたくさんいます。でも、彼女の場合は、痩せたためについた自信が、彼女をどんどんきれいにしていったのです。
きっと、結婚が決まったという報告を受ける日も、そう遠くないと思います。
なかなか結婚が決まらない人のなかには、相手から断られるのが怖くて先に断ってしまうという人もいます。
「僕は断られたことがない」と威張っている人のこれまでの履歴を見ると、すべて自分から先に断っていたということは、意外にあるのです。そういう人に限って、実は相手は交際を望んでいたということを知って、後になって悔しがっています。これでは、決まるものも決まりません。
ベテランの仲人さんのなかには、お見合いをした会員さんが「断る」というと、それと察して「じゃあ、相手次第にしようか」と言うようにしているという人もいます。そうすると案外「うん」と言うそうです。
仲人の世界にはテクニックがあるようで、そんなにはっきりとしたノウハウがあるわけではありません。仲人さんたちも会員さん同様、失敗しながら経験を積んでいくのです。ただ、長年やっていると、お見合いのときに、仲人さんの家から外へ出ていくときの二人の様子を見ていれば、その後彼らが交際に人るかどうかはだいたい分かります。
結婚相談所では、結婚を前提に紹介しあうので、決まる時は本当に早く決まるものです。
でも、せっかくセッティングしたお見合いを遅らせたりする人は、どうしても決まるのが遅くなります。
入会に際しても、勝負写真が撮れなかったから、延期してほしいという人。風邪をひいてしまって化粧ののりが悪いから、今日のお見合いは延期してほしいという方。そういう人たちはどうしても縁遠くなってしまいます。時間の問題ではなく、縁をつかむ力が弱いため、せっかくのチャンスを逃してしまうのだと思います。
私どもの会では、新たに入会された方の情報を掲載した良縁ニュースを、毎週、全国に一千人いる仲人さんのもとへお送りしています※。ですから、なるべく頻繁に仲人さんのもとへ足を運ぶことが、結婚を早めるコツです。
我々仲人は、明日入会する人が、長年在籍している会員さんの伴侶になるかもしれないという夢を日々抱いています。来週入る人が、あなたの将来のパートナーになるかもしれません。でもそのためには、あなた自身が動いて、仲人さんのもとに足を運ばないかぎり、その方を見つけることはできないのです。
※数字は常に変動しています。
相手に好印象を持ってもらうためにも、きちんとした身なりでお見合いにのぞむことは大切です。けれども特に男性は、あまりにも身なりに構わなさすぎる人が多く、第一印象を良くしたいという努カが感じられないのが残念です。でもそれも、仲人さんがアドバイスしていくと、徐々に皆さん変わっていかれ、最初にいらっしゃったときとは見違えるようになる人もいます。
男性には、お見合いではもちろん、登録の際に持ってきていただく写真も、必ずスーツを着用したものにしていただいています。でも、スーツであれば何でもいいというわけではありません。シャツやネクタイの色の組みあわせを考えて、できるだけ品良く明るい印象にしたいものです。たとえば、ワイシャツの色を白から薄いブルーにするだけで、またネクタイの色を明るめにするだけでも、相手に与える印象はずいぶんと違ったものになります。
上はスーツで決めているのに、下は運動靴をはいて来る人。ナイロン製のリュックを背負って来る人もいます。どうしてもリュックにこだわるのなら、背負うのではなく、手に持ったほうが相手に失礼な感じを与えずにすみます。こうしたファッションに関しては、私たちが時々開いているセミナーで、その人に似合う色のコーディネートも行っていますので、参考にしてみてください。
着ていくファッションやバッグが決まったら、何はともあれとにかく清潔にすることを心がけてください。お見合いの後に女性と話をしてみると、「スーツの肩にフケがたくさん落ちていた」とか「爪が長く伸びていて、しかも汚かった」といった感想が聞かれるように、こと「清潔感」について女性はとても敏感です。
髪の毛を清潔にしておくことはもちろんですが、髪形も大事です。以前、顔が大きいのを隠そうと、おかっぱ頭にしてきた人がいましたが、これは逆効果。かえって顔の大きさが強調されてしまいます。また、「清潔」を心がけるあまり、頭をツルツルに剃ってしまう人もいますが、坊主頭から日本人が想像するのは、お坊さんか服役囚ですから、これもあまりおすすめできません。
お見合いは、できるだけ自分の良いところを引き出して相手にアピールする場ですから、こういったところに気を使うのは当たり前なのですが、意外と無頓着な方が多いのには驚かされます。勤めている会社の製品を販売するときには、その製品の良さを、手を変え品を変えてアピールする方法を考えるでしょう。お見合いもある意味では自分をアピールする、いわばプレゼンテーションの場と考えれば分かりやすいのではないでしょうか。アピールの仕方によって、相手が受けるイメージ、印象は大きく違ってくるのです。
これに対して女性は特にアドパイスしなくても、皆さんそれなりにおしゃれに気を使っています。あえて言えば、お見合いの席に着ていく服は、黒などの暗い色よりも淡い色、明るい色のほうが、相手に好印象を与えます。ボトムはきちんとした印象を与えるのであれば、スカートでもパンツでもまったく構わないと思います。
あとは、エレガントに見える工夫です。たとえば、人の家にあがるときには、コートを脱いで手に持ってあいさつしたほうがスマートに見えます。また、喫茶店でコーヒーや紅茶がポットで出てきた場合、まず相手側から注ぐということもマナーの基本と言えるでしょう。
お見合いの前に男性の緊張をほぐすため、仲人さんが「今日はどんなことを話すつもり?」と訊ねると、「どんなことを話したらいいのでしょうか」と逆に聞かれることがよくあります。
基本的に男性は会話下手な人が多いようです。女性が「趣味は何ですか?」と聞いても「いやあ、仕事が忙しくてほとんど寝ています」と答えてしまっては、そこで会話がぷっつりと途切れてしまいます。仕事が忙しかったとしても、せめて「今は忙しくてなかなか行けませんが、以前は釣りをしていました」といった答えであれば、女性も話の接ぎ穂が見つかります。
案外、皆さん相手から聞いているようで聞いてないのが、家族のことです。掲載しているデータには相手の家族構成はあっても、それぞれの人たちの年齢や職業まではわかりません。相手のことを知るためにも、話の糸口をつかむためにも、家族というのはわかりやすいキーワードです。
そうかと思うと、余計なことまで話してしまって失敗してしまうことが多いのも、また男性です。
ある女性は「長男だからゆくゆくは親もとへ戻ることになると思う」と男性に言われ、交際を断ってしまいました。後で男性に話を聞いてみると、「確かに言ったけれども、それは退職後のことで、二十年以上先の話」ということでした。ご両親も五十歳くらいで、まだまだ元気いっぱいです。二十年後のことなんて、だれにも分からないことで、そのときには状況もずいぶん変わっていることでしょう。そういったことは結婚してから、二人で生活を作っていき、何十年かたったところで出てくる話で、そのときにお互い話し合えばいいことです。
また、「ご両親はお元気ですか?」と聞かれて、たまたまちょっと風邪をひいていて寝込んでいただけなのに、「今、からだをこわしておりまして」と答え、やはり相手から断られてしまった人もいます。あとでお相手の仲人さんにご両親の年齢を間いてみると、まだ四十九歳ということでした。会話がないのも困りますが、誤解を招くようなことをわざわざ言う必要もありません。
こういうことを言うと、ますます気後れしてしまう男性もいるかもしれませんが、一般に女性は相手の何気ない言葉から、最大限の情報を引き出すのに長けています。両親が健康を害したときに世話をしたい、面倒をみたいというのは、息子としてはごく自然な感情で、今そういった状況、あるいは近い将来そうなる可能性があるのであれば、相手にきちんと伝える必要があります。でも、差し迫った問題でなければ、「いずれいっしょになる人とともに考えていきたい」といった答え方をすることも必要です。
また、男性はまじめな人が多いですから、なかには丁寧語を使いすぎて相手を疲れさせる人もいます。
以前、私どものところに六年近く在籍していた男性がいました。顔も整った方ですし、背も高く見栄えも良いので、お見合いの申し込みはたくさんありました。ところが、いつも三回くらい会ったところで、相手の女性からふられてしまいます。そこで、いったいどこに原因があるのか女性に聞いてみたところ、「硬い」「笑わない」「丁寧すぎる」という答えが返ってきました。
彼は几帳面な性格でしたから、週に一度は必ずお相手の女性に電話をするのですが、そのときの電話が、たとえ三回目のデートの電話であっても「○○○○と申します。○○さん、今度の日曜日にお会いしたいと思いますが、ご都合はいかがでしょうか」というものだったそうです。普通は三回めともなれば、もう少しくだけた言い方になるものです。あまりにも丁寧すぎるというのも、いつまでたっても打ち解けない雰囲気になりますし、女性のほうも疲れてしまいます。何度か会ったあとは、相手に呼びかけるときに、名字ではなく、名前を呼ぶというのも親しみを増すきっかけになると思います。
自分が会話が苦手だと思えば、喫茶店にあまり長い時間いないようにするのも良い方法です。天気がよければ「少し歩きませんか」と誘って散歩すれば、喫茶店で顔を付き合わせているよりも、いくらかリラックスして話すことができるかもしれません。また本が好きだったら本屋に、音楽が好きだったらCDショップに誘ってみるのもいいのではないでしょうか。
女性と話をするのが苦手だから、デートのときはいつも映画館に行くという男性もいます。それはそれで良い方法ですが、仲人さんが「じゃあ、そのあとにお茶でも飲んだ?」と聞くと、「いえ、映画館の前で待ち合わせて、映画館でお別れしました」と答えるそうです。まあ、それで交際が順調に進むのであればいいのかもしれませんが、せめてお茶くらい飲んで、映画について話してみれば、相手の性格、物事のとらえ方も分かって楽しいと思うのですが……。
なお、私どもでは、お見合いのときには自家用車は使わないという約束があります。車の中は密室になりますし、交通事故の問題もあります。もちろん、交際に入れば車を使うのはまったく構いません。でも、女性のなかには「運転が乱暴だから、きっと短気にちがいない」とか、「シートベルトをしない人は、約束を守れない人」と決めつけてしまう人もいますから、くれぐれも安全運転を心がけてください。
お見合いを申し込む場合、だいたい女性は一度に五~六人、男性は十人くらいを選んでいただきます。人気がある男性の場合、十人申し込むと四人くらいの女性が受けてくださるということもありますが、普通はだいたいお返事をいただけるのは、せいぜい一人くらいです。
お見合いの申し込みが成立すると、本人たちの希望を聞いて、三日くらい候補日をあげてもらい、相手の方にそのうちの一日を選んでいただきます。
仲人さんの自宅や事務所ではなく、外で待ち合わせてお見合いするときには、仲人さんが立ち合うこともありますが、今はむしろ自然な出会いを演出したほうが喜ばれるということもあって、目印を決めてもらい、本人だけで会っていただくことのほうが多いようです。
さて、そのお見合いのときにくれぐれもお願いしたいのは、お断わりしたいと思ったときに、本人の前でそれを口に出さないということです。本人に直接言えば、「どうしてですか」と必ず聞かれます。そうすると、相手にとってのマイナス点をあげざるを得なくなって相手を傷つけてしまいます。せっかく仲人さんがいるのですから、必ず仲人さんに伝えてください。
交際に入ってしばらくたってからお断わりしたいと思った場合、相手に断わらせるようにうまくもっていく人も、たまにいます。
あるとき、女性会員さんから電話があり、一時間近くグチを聞かされたことがあります。なんでも、交際に入って二度目に食事に行ったところ、その男性が「結婚したら、寝室は別にしたい」と言ってきたそうです。男性は二度目の結婚でしたから、彼女は「前の奥さんともそうだったの?」と聞きました。彼は、「以前それで矢敗しているから、今回は別にしたいのだ」と答えたと言います。それを聞いた途端、私は「あ、この男性は女性に断わらせるつもりだな」とピンときました。結果はまさにその通りになり、女性は彼との結婚をあきらめ、男性からは翌日、「たぶん彼女から断わってくると思います」といった旨のファックスが送られてきました。女性がかなりこの交際に積極的だったこともあって、この男性は、女性をなるべく傷つけないようにするために、わざとそう言ったのだと思います。でも、そこまで気を使わなくても、お断わりしたいと思ったときには、仲人さんにそう伝えるだけで、仲人さんのほうからじょうずに断わってくれます。
職業で言えば、やはり男性のお医者さんは人気がありますね。お医者さんから申し込まれた場合、女性は一度くらいは会ってみてもいいかもと思うようです。
他の結婚相談所では、男性医師ばかりを集めたパーティなどで、女性から高額の参加費をとっているところもあるそうです。
以前、そういったパーティに参加したという会員さんから聞いた話です。彼女は私どもの会に入会していたものの、他の結婚相談所が主催するパーティにも頻繁に出入りしていました。あるとき、医者ばかりを集めたパーティに初めて三万円という金額を払って参加し、出会った人とお付き合いしてみたそうです。ところがその後、その方は国家試験を経て資格をとった医者ではなく、接骨師だったことが判明したそうです。きっと肩書きにこだわるばからしさを感じたのでしょう。それをきっかけにその方は、あちこちのパーティに出席することはやめ、私どものお見合いに本腰を入れるようになり、間もなく伴侶を見つけて退会されました。
お見合いがうまくいくと、二回目以降は電話番号を交換し、あとは本人同士で連絡していただいていますが、実はここからなかなかスムースにいかないことが多いのです。
デートの日取りを決めるため、男性が女性に電話をかけて「この日はどうですか?」と聞いたとします。ところが「その日は用事が入っています」と答えられると、それ以上男性は粘らないことが多いのです。用事といっても、もしかしたら午前中で片がつくものかもしれません。「では、夜はいかがですか?」という聞き方をすれば、もしかしたら先方は都合がつくかもしれないのに、「わかりました、また電話をします」と言って、電話を切ってしまいます。それが二度も三度も続けば、男性の方も電話をかける気力が失せてしまって連絡をとらなくなり、そのまま縁がなくなってしまうということは、意外に多いのです。
また、何度電話をかけても連絡がつかないから、結局そのままうやむやになってしまったということもよくあります。
お見合いから交際に入ったカップルがいたのですが、二週間以上たっても仲人さんのもとには特に連絡がなかったため、仲人さんはそのカップルがうまくいっているものだと思っていました。ところがある日、女性から「もう電話がかかってこないからいいです」という連絡が仲人さんのところに入ったのです。男性からは「しょっちゅう電話を入れているけれど、なかなか連絡がつかない」とだけ聞いていたので、「男性は電話をかけているそうよ。知らないの?」と言うと、「知らない」と言います。そこで男性に確かめてみると、「夜九時、九時半と相手に電話をして留守だった、でも十時になると遅いかもしれないと思い、遠慮していた」と言うのです。しかも、留守番電話にメッセージを吹き込むことなく、電話を切ってしまっていたのです。携帯電話ではないので、相手の電話には番号も残りません。これではせっかく連絡をとったとしても、まったくしていないのと同じようなものです。メッセージを吹き込めば、女性もさすがに悪いなと思って男性に連絡することでしょう。
では、連絡がないと仲人さんに言う前に、女性側から連絡すればいいではないかとあなたは思うかもしれません。ところが、これはどれだけ年齢を重ねた女性でも嫌がるのです。
以前、五十歳くらいの女性会員さんがいらっしゃいました。お見合いのあと交際に入り、その後二度会ったそうです。女性は結婚を決めてもいいかなと思いはじめているようですが、男性の趣味が「釣り」なので、休みの日は外出しがちでなかなか連絡がつきません。そこで仲人さんがその女性に、「あなたから電話すればいいじゃない」とアドバイスしたそうですが、「私が?」と、驚いたような返事が返ってきました。「男性に連絡するのが恥ずかしいの?」と聞くと「でも、プライドが……」という返事。「あなたから電話すれば、向こうは喜んで、釣りも一度くらいは休んでくれるわよ。先方も“あなたに電話してもいつもいない”とおっしゃってるらしいわよ」と言うと、「わかりました。ちょっとプライドを下げてみます」ということで、結局彼女から連絡してうまくいったそうです。
「電話は男性からかけるもの」といった概念は、男女平等の世の中になったとは言え、まだまだ根強いものがあるようです。
「どんな人と結婚したいの?」と会員さんに聞くと「フィーリングが合う人」という答えが返ってくることが多いのですが、そのためにはもっと頻繁に連絡して会ってみなければ、どんな人かわからないでしょう。仲人さんのほうも、電話してもよい時間帯を女性に訊ねてから、それを男性に伝えてもらっています。ですから、男性は連絡がなかなかつかなくてもあきらめず、根気よく連絡してみてください。
また、これは最近の傾向ですが、交際に入って三週間たっても、会わずに電話やメールのやり取りだけで「付きあっている」と言う人もいます。「それでいいんですか?」と聞いても「お互い疲れているからそれでいい」という返事。「ではそのままの状態で、もしプロポーズされたら受けるのか」と聞くと「それはちょっと……」となってしまいます。
最近は皆さんの生活が忙しいこともあるのだと思いますが、仲人さんがかなり後押ししなくては、交際が進展しないという人が増えています。それだけ仲人さんが活躍する機会が多くなってきているということなのでしょう。
全国仲人連合会は日本中に支部がありますが、地域差というのは特にないと思います。
父が連合会を立ち上げた当初は、「京都は封建的で外部の人間をなかなか受け入れないから、京都での営業は無理だ」と言われ、へそ曲がりだった父は「それだったら、やってやる」、ということで京都にも支部を作りました。「同じ日本に住んでいるのであれば大丈夫。カルチャーギャッブなんかない」というのが父の持論だったのです。そして、父が言ったとおり、支部は全国に広がり、日本中どこもまったく同じシステムのもとで運営されています。
システムは全国一律ですが、会員さんの地域性というのは、多少なりともあるような気がします。関西から関東に移ってきた仲人さんの話を聞いてみると、引っ込み思案の男性は東京に多く、関西の男性はもう少しラフな感じで、連絡がつかなければ何回も電話をかけるといったしぶとさがあると言います。また、入会するときも、東京は仲人さんのちょっとした後押しが必要だったりしますが、大阪の場合は、成婚が決まった近所の人がクチコミで入会する会員さんも多かったそうです。確かに、近所にはこういったプライバシーは話さないという東京では、あまり例のない話です。
関西に昔、「学歴も良くないし、顔も良くない」とお父様が自慢(?)なさるほど、一般的に条件が良いとは言えない方がいらっしゃいました。でも、彼は交際に入ると週に一度と言わず、二度でも三度でも彼女に頻繁に連絡し、ついに結婚にこぎつけました。相手が不在でもめげずに何度でも連絡し、話し始めると相手の気をそらさない話術に長けていたことも成婚に結びついたようです。一般的にいえば、関西の方のほうが口達者な男性が多いと言えるかもしれません。
こうした地域における特徴は多少はあるものの、大きな違いは特にありません。だからこそ、地域を乗り越え、遠距離で決まっていく結婚がたくさんあるのだと思います。
よく私は仲人さんたちに、「仲人は会員さんが結婚するまでかかる医者のようなもの」と話しています。治療が必要な人には、その人に悪いところをはっきりと伝え、私どもの会にいらっしゃる間にそこを直してもらうのです。
男性に求める条件のなかに「自立している男性」を挙げる女性もいます。その「自立」の内容をよく聞いてみると、単純に「実家を出て一人で住んでいる人」だったりします。でも、東京のように家賃が高い場所では、経済的な事情で、便宜上親と同居している人はたくさんいますから、これはあまり目安にはならないと思います。
でもたまに、親の方が子離れしていないなと思う場面にも遭遇します。
たとえば、お見合いの場に、母親が付いてくるような場合です。でもそういうときには、仲人さんは「せっかくいい息子さんなのに、お母様が横に付いてくることで、点数が落ちてしまいますね」とはっきり言います。もちろん母親の顔色は変わりますが、そういう憎まれ役を買って出るのも、仲人さんの仕事です。
また、息子さんに対して過干渉だと思われるお母様もいらっしゃいますが、そういう方も、私たちの会にいらっしゃる間に、自然と自立していかれます。
先日、ある仲人さんのところに新しく入会された息子さんに、お母様が付き添っていらしたことがありました。息子さんに条件に合うお相手を検索してもらい、仲人さんが頃合いを見計らって「終わった?」と聞くと、すかさずお母様が「ちゃんと選んだの?」と聞きます。そういうときには「お母さん、申し訳ないですけど、息子さんを子どものままにしていませんか。それでは息子さんはかわいそうですよ」とはっきり言います。何回かそういうやり取りが続くと、母親も気づいて、だんだん息子のことに口を出さないようになっていくのです。以前は、息子さんがまだ帰宅していないときに仲人さんが電話を入れると、お母様が「何のご用ですか」と聞いていたそうですが、「お母さんではなく息子さんにお伝えしたいので、本人に電話させてください」と言うと、そのうちお母様も息子さんがいないときは「まだ帰っておりませんので、電話するよう伝えておきます」と言うようになりました。
ここまで母親が過干渉という例はめったにありませんが、私は基本的には、男はみんなマザーコンプレックスを持っていると思います。確かにそれが行き過ぎてしまっては問題ですが、自分をかえりみても、そして息子と私の妻の関係を見ても、多かれ少なかれ男はそういう部分を持っているようです。
けれども、女性はマザコンという言葉に敏感で、「会話のなかに"母"という言葉が○回出てきた」といちいち数えている人もいるほどです。でも男性のなかには「自分の家のことを知ってもらいたい」という純粋な思いからいっしょうけんめい話す人もいることを、女性は頭の隅に入れておいてほしいと思います。
女性が陥りがちな失敗のひとつに、初対面の場であるお見合いで、相手のすべてを知りたいとばかり、質問しすぎてしまうということがあります。まるで面接官のように質問してしまい、自分も採点される側だということに気づいていないのです。
たとえば、「親の面倒を将来みようと思っていますか?」と初対面から聞いてしまう女性がいます。同居を希望しない彼女としては、「親と同居するか否か」といった重大な問題を最初に聞いてしまえば、二度会う手間が省けると思っているのかもしれませんが、これでは「私は思いやりのない人間です」と相手にわざわざ宣言しているようなものです。また、たとえ同居する気がなくても、そう聞かれて「いいえ」と言う男性もいないでしょう。
私たちの会における「お見合い」では、基本的に会員さんがおっしゃっている条件をクリアした方をご紹介しています。そういう意味でも、ある程度条件にかなった人を、一度会っただけの短い時間で断ってしまうのはもったいないと思うのです。働いている女性はとても忙しいですから、なるべく短い時間に多くの人と会いたいという希望は分かるのですが、一人の人間を理解するにはある程度無駄なことも必要です。
女性は、必要以上に結婚を「人生の岐路」ととらえてしまいがちです。確かに結婚は大きな選択には違いないのですが、もう少し楽に考えればすぐに幸せになれるのになあ、と思うこともたびたびあります。肩の力を抜いてゆったりとした気持ちでお見合いにのぞめば、相手を質問攻めにすることなく、会話にゆとりが出てくると思います。
自分にぴったりくる人を探すためには、まず自分を知らなくてはなりません。自分がわがままなのに、相手もわがままな人を選んでしまっては、必ず衝突します。でも、相手が大らかな人であれば、自分のわがままも受け止めてくれるかもしれません。そうやって急ぐことなく、自分の長所と欠点、相手の長所と欠点をじっくり見据えたうえで、お互いの性格を補い合えるかどうかを見ていき、だめだと思えばそこで初めて断わっても遅くはないのです。三ケ月というのは、そのための期間だと思っています。
男性のほうが、前の結婚を引きずる人が多いせいか、再婚希望者のなかには、前の奥様の持ち物を、なかなか処分できない人もいます。結婚しようと思っている男性の家のあちこちに、前の奥さんの持ち物が残っているというのは、新しい家庭を築きたいと考えている女性にとって、あまり気持ちの良いものではないでしょう。
以前、若くして奥様を亡くし、私どもの会で再婚相手を見つけた男性がいました。その再婚相手の女性が、仲人さんのところにあいさつにいらした際にうかがった話です。
再婚して家に入ってみると、箪笥には亡くなった奥様の衣類や和服があり、しかもその家にはまだお墓がなかったためか、お骨が家に置いてあり、一瞬ギョッとしたそうです。仲人さんが「きっとやさしいご主人なのよ。お墓を買って納骨してあげたら、今度は奥さんが見守ってくださるわよ。衣類が残っていたのも、きっと男所帯でそこまで手がまわらなかったのよ」とアドバイスすると、「そうね、まだ貯金の額も聞いていなかったから、ついでに聞いて、お墓も買っちゃおう」と彼女もカラリと言い、その後の結婚生活は順調にいっているようです。でも、女性の立場に立って考えると、せめて衣類くらいは処分し、お骨についても再婚前に彼女に相談しておく、といった配慮があったほうがいいと思います。
奥様と死別した方とお見合いした女性からあがる不満として、亡くなった奥様の話をよく聞かされるということがあります。
お見合いを経て交際を始めたある女性が、男性の家を訪問したところ、花壇がきれいだったので、「きれいな花ですねえ」と言ったところ「死んだ女房が好きだったもので」と男性が答え、縁がこわれてしまったこともあります。また、亡くなった奥様の持ち物を「良かったら、それ持って帰ってもいいですよ」と言われて嫌だったという人。「死んだ女房の墓を大事にしてくれますか」と言われて、感情を害してしまった人もいます。
ある男性は、何回目かのデートの別れ際に「今日はちょっと寄るところがあるので」と言って、花屋さんに入りました。女性が見ていると、男性は菊など仏様に供えるような花を買ったので、いったいどこに行くのだろうと後をつけていくと、彼が入っていった先はお墓だったそうです。あとで聞いてみると、亡くなった奥様の月命日には必ずお墓参りをしていて、彼女とデートする日がたまたまその日に当たってしまったということでした。そうやって毎月お墓参りに行くというのは、とてもやさしい人だからだと思うのですが、彼女はどうしてもそれを受け入れることができず、結局、結婚には至りませんでした。
亡くなってしまった方にやきもちを妬いても仕方ありません。これから二人で想い出を作っていけば、亡くなった方の面影は放っておいても、姿を消していくはずです。
でも、男性のほうも、女性が抱いている新しい結婚生活への夢を尊重する必要があります。そのあたりの女性の心情を男性が察してあげることも、再婚を成功させるコツだと思います。
会員希望者を登録する際には、相手に求める条件をお聞きし、良縁ニュースに掲載しています。そのときに、「タバコを吸わない方」とか、「仕事を続けたいので、ご理解いただける方」というのはとてもわかりやすい具体的な条件なのですが、中には「包容力のある方」とか、「穏やかな性格の方」といった性格について条件をつける方もいらっしゃいます。
ところが、性格というのは、相手によってその評価はさまざまで、たとえば私たちが「物静かな方」と表現した方が、違う人から見ると「暗い人」と評価されるかもしれません。ですから、お相手を選ぶ際にその方の性格について聞かれたときには、正直に「分からない」と答えています。人によって見方が違うのですから、こればかりは自分で会ってみて、実際にどう判断するかにかかっていると言えます。ですからもしもあなたが相手の性格を重視するのであれば、条件の欄には「人物本位」と書き入れるのが、いちばん良いと思います。
条件のところに「できれば~」といった表現を使うのも考えものです。よく「できれば医師の方」と書く人もいますが、これは一見一歩引いた言い方のように見えて、そうではありません。むしろ「医師を希望」と書いたほうが、何を求めているのかはっきりしていていいと思います。
以前、趣味の欄に「落書き」と書いた女性がいました。たぶん、紙に絵を描くのが癖のようになっている人で、ちょっとお茶目な感じを出したいというところから書いたのだと思いますが、保守的な人は、「落書き」という言葉に悪いイメージを持っています。むしろ「イラスト」にしたほうがいいとアドバイスしたのですが、こういったセンスの違いはなかなかむずかしいものがあります。往々にして女性のほうがユーモアのセンスがあるのですが、男性にはそのユーモアを受け取れる人が少ないというのも事実です。
良縁ニュースには写真を掲載していますが、時々「写真は掲載したくないので、入れないでください」とおっしゃる方もいます。「外見だけで選んでほしくない」といった気持ちはよく分かるのですが、結果的にいえば、写真なしの方で、これまでお見合いの申し込みがあった例はたいへん少ないのです。ですから、入会して三カ月くらいたったころに説得し、写真を掲載していただくようにしています。